最先端の体験 Archives - TRICOLAGE https://tricolage.com/ja/magazine/category/cutting-edge-experiences/ Japan Sustainable Travel Wed, 12 Nov 2025 06:39:30 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=7.0 https://tricolage.com/wpdata/wp-content/uploads/2025/08/favicon-150x150.png 最先端の体験 Archives - TRICOLAGE https://tricolage.com/ja/magazine/category/cutting-edge-experiences/ 32 32 江戸からデジタル時代へ―日本を体感する旅 https://tricolage.com/ja/magazine/%e6%b1%9f%e6%88%b8%e3%81%8b%e3%82%89%e3%83%87%e3%82%b8%e3%82%bf%e3%83%ab%e6%99%82%e4%bb%a3%e3%81%b8%e2%80%95%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%82%92%e4%bd%93%e6%84%9f%e3%81%99%e3%82%8b%e6%97%85/ Wed, 12 Nov 2025 02:39:08 +0000 https://tricolage.com/?p=16641 現代アートを通して日本を体験し、伝統と革新が溶け合い、美が「感じる」ものとなる瞬間を。

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現代アートを通して日本を体験し、伝統と革新が溶け合い、美が「感じる」ものとなる瞬間を。

日本の秋は、風景を琥珀と青煙のグラデーションへとやわらげる。
それは、寺の鐘が鳴る前の静寂、杉を渡る風のさざめき、光が部屋の空気を変える瞬間

小さなものに気づくための季節である。
この季節、日本では芸術は「鑑賞されるもの」ではなく、「出会うもの」になる。
神社や紅葉並木といった定番の巡礼の先に、芸術と自然が自由に語り合う場所で、
最も心を動かす体験が静かに広がっていく。

ヨーロッパの多くが傑作を格式ある建物の中に守るのに対し、
日本では芸術は生活そのものの中に息づいている。
森や島々に織り込まれ、水や風に運ばれ、
季節とともに呼吸する空間として形づくられているのだ。

だからこそ私たちは、よりゆっくりと、より深く見つめる旅をデザインする。
山梨の松林から瀬戸内の潮風に洗われる島々へ、
そして東京の光あふれるデジタルの世界へ。
これらの場所に共通するのは、伝統と革新が対立するものではなく、
同じものを形づくるように調和しているということだ。

山梨―山々が現代アートと出会う場所

北杜の松林の奥深くに佇む「中村キース・ヘリング美術館」は、まるで大地から立ち上がるように姿を見せる。
建築家・北川原温によるコンクリート、ガラス、そして影が織りなす調和は、まさに建築の舞踏のようだ。
館内では、ヘリングの線が脈打つ―輝く赤子、吠える犬、永遠に動き続けるダンサーたち。
外に出れば、山の空気がそのリズムを静かに整え、色彩の鼓動を静寂がやさしく包み込む。

北杜・山梨の中村キース・ヘリング美術館の入口を、ネオンの光がやわらかく照らす

ヘリングの目的は「すべての人のためのアート」、つまり日常の中にある包摂だった。
この地にその理念が息づくとき、それは日本の感性―共感、共同体、そして土地への敬意―と静かに響き合う。

旅人にとって、この地域はまさに贈り物のような存在だ。
観光地化されすぎていないこの場所では、自らの好奇心の速度で歩むことができる。
美術館の訪問にワイナリーでのテイスティングを組み合わせたり、
小淵沢周辺の旅館に一泊したりと、自然と文化がゆるやかに交差する時間が流れている。

力強いラインと鮮やかなフォルムが躍動する― 北杜・山梨の中村キース・ヘリング美術館にて。

「アートはプロパガンダではないと思う。アートは魂を解き放ち、想像力を刺激し、人々がさらに先へ進むことを促すものであるべきだ。」
― キース・ヘリング

直島と瀬戸内国際芸術祭―再生の島々

瀬戸内海へ船を進めると、そこには「再生」という名の学びが待っている。
直島では、草間彌生の海辺のかぼちゃが灯台のように輝き、
安藤忠雄の設計による美術館が岩と光のあいだに静かに沈む―
コンクリートさえも潮風にやわらげられている。

フェリーで隣の島へ渡れば、その風景は繰り返される。
芸術が人々の生活に織り込まれ

村の路地がギャラリーへと変わり、古い学校がインスタレーションとして新たに息を吹き返すのだ。

草間彌生《かぼちゃ》―直島、瀬戸内国際芸術祭にて。

瀬戸内国際芸術祭は、この群島を「静かで老いた場所」から「青空の下に広がる文化的な風景」へと生まれ変わらせた。

フェリーと遊歩道が旅程を描く、やさしく穏やかなルネサンス。

それはまるで日本の地中海―

太陽と海、そして小さなコミュニティが、創造性と温かな思いやりによって結ばれている場所なのだ。

東京―チームラボ プラネッツ & チームラボ ボーダレス

東京に戻ると、物語は異なるテンポで続いていく。
チームラボ プラネッツでは、裸足で水の中に踏み入り、足元に浅く広がる水面と、無限に伸びる鏡の回廊に身を委ねる体験が待っている。
一方、チームラボ ボーダレスでは道筋が消え、部屋が変化し、映像が境界を越えて漂い、地図ではなく感覚で空間を進む。
ここでのテクノロジーは、自然からの逃避ではなく、その延長線上にある。

最も詩的なインスタレーションのひとつでは、デジタルの花々が観る者の足元で咲き、そして散る。
それは尾形光琳《燕子花図屏風》などの江戸時代の傑作を連想ささせるかもしれない。
構図、色彩、そして動きのリズムが、水と花弁のあいだにある対話を想起させる
ただし、今は光とコードの中で再構築されている。

かつて金地に描かれたものはいま光として輝き、絹に定着していたものはいま呼吸し、やがて消える。
この連続性こそが、日本的である。
時代とともに表現の器は変わっても、自然の本質は変わらず、
それが何世紀にもわたる「視覚的な対話」として静かに続いているのだ。

チームラボ ボーダレス(東京)

この花々と光の流れは、江戸の燕子花や描かれた波を思わせる―現代のために再びコデジタル化された姿で。
テーマは古来より変わらない。無常、調和、そして「間(ま)」という余白。
しかし、その表現媒体は時代に呼応し、観る者の動きに耳を傾ける。
あなたが動けば、作品もまたともに動くのだ。

江戸からアルゴリズムへ―日本的美の本質

日本の美意識は、古くから自然を「背景」ではなく「共創者」として扱ってきた。
江戸時代(1603〜1868年、芸術と文化が最も花開いた時代)には、
燕子花や波、金箔の空が屏風を彩り、
茶庭は静寂と「間(ま)」―意味ある余白―で構成した。

それらを貫くのは、「無常(むじょう)」と「和(わ)」への繊細な感受性。
現代の創造者たちは、新たな道具を手にしながらも、同じ言語で美を語り続けている。

東京のあちこちに、いまも江戸の雅が息づいている。燕子花を描いた屏風から、チームラボの没入型の花の世界まで――水、光、花という同じ要素が、新たな媒体を通して対話を続けている。かつて筆と絹が語っていた場所で、いまはアルゴリズムとガラスが語る。
― 日本では、近代化は伝統を消し去るのではなく、その延長線上に進化していく。

(参考作品:「燕子花図屏風」江戸時代・18世紀初期 — 文化遺産オンライン

結びの地図―日本の「再生するアート」マップ

日本各地には、風景とそのリズムに育まれた三つの異なる創造のかたちがある。
北杜の森では、杉の枝のあいだから光がこぼれ、色彩が静寂と出会う―静けさの中で芸術が花開く。
瀬戸内海では、創造性は開放として姿を現す。海と空にまたがり、かつて潮に隔てられていた地域や人々を芸術が再び結びつけ、忘れられた場所に新たな生命を吹き込む。
そして首都・東京では、それは動きへと変化する。光とテクノロジーの鼓動が、伝統を現代の世界に向けて再解釈するのだ。

この三つの目的地をめぐる旅は、文化・革新・環境が共存する「再生の回路」を描く。
それぞれを体験することで、日本がいかに本質を失うことなく、常に自らを再創造し続けているかをより深く理解できるだろう。

この旅を「持続的に」歩むためには、歩調をゆるめることが大切だ。
空気と空間が静かな平日や季節の狭間を選び、意図をもって動こう。
列車で田園を抜け、フェリーで内海を渡り、都市の通りを自分の足で歩く。
訪れる場所を少なくし、より長く滞在しよう。
そうすることで、地元の旅館やゲストハウス、カフェがあなたの発見の一部となる。
その旅は、ただ日本の創造性を見るだけでなく―それを支える生態系、職人、家族たちの営みを共に生かすことにつながっていくのだ。

トリコラージュとともに巡る―芸術を通して体感する日本の価値

日本における芸術は、場所と切り離すことができない。
それは、コンクリートの冷たさとして、風に混じる潮の香りとして、
足音のあいだの静けさとして、暗闇に咲くピクセルの花として現れる。
安藤忠雄の影の中に刻まれ、チームラボの空間に脈打ち、
森の回廊の奥で光を放つ―どの出会いも同じ問いを誘う。
「私たちは、どうすれば自然と、人と、時間とつながることができるのか?」
その答えがあるとすれば、それは言葉ではなく、心の中に持ち帰るひとつのリズムなのだ。

だからこそ、トリコラージュでは「見る」だけの旅を越えた体験を提案している。
人と土地の両方を再生させるような旅―
「隠れた場所」とは、辿り着きにくい場所ではなく、むしろ心で聴き取りやすい場所なのだ。
静かな森から、海の光、そして輝く美術館へ。
私たちは、伝統から育まれた創造の鼓動を地図に描き、
訪れる人も場所も豊かにする、循環する旅をデザインしている。

季節が移ろうにつれ、秋はその出会いをより深めていく。
山では、美術館の外壁が紅葉に染まる丘の色を映し、
内海では、沈みゆく陽が静かな水面に銀の光を広げる。
そして都市では、薄れていく光が鏡の部屋に残り、
その反射を永遠に近いものへと伸ばしていく。
空気そのものが意図的に感じられ、
この国の美が「見せるためのもの」ではなく、
ゆっくりと出会うためのリズムであることを思い出させる。

光と影、潮と時―そのあいだに生きる日本という対話を旅したいなら、
私たちは、その道をあなたとともに歩んでいく。

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大田区で過ごす一日 https://tricolage.com/ja/magazine/a-day-out-in-ota-ward/ Sat, 03 May 2025 13:39:00 +0000 https://tricolage.com/magazine/a-day-out-in-ota-ward/ 多様な魅力を誇る大田区を探訪:ユニークな芸者、サステナブルなアーティスト、羽田空港ツアーなど

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大田区は羽田空港があるだけでなく、まだまだ知られざる魅力にあふれています。

今回は、その驚きに満ちた大田区の魅力を探る旅についてご紹介します。

舞台に静けさが訪れ、芸者の栄太朗が前へ進み、ゆったりと舞い始めます。扇子をしなやかに動かしながら一つひとつの所作を丁寧に重ね、優雅なリズムで歩みを進めるその姿は、まさに芸の極み。三味線の音色に合わせて舞う姿を、近くで座る若手芸者が真剣に見つめています。彼女にとって、経験豊富な「お姉さん」たちの芸は学びの宝庫です。

Geisha in traditional black kimono with white makeup and ornate hairstyle performing gracefully in front of illuminated red lanterns at a Japanese temple or traditional venue.
栄太朗の舞 | Photo by Merci

芸者文化との出会い

芸者の道は、17世紀にまでさかのぼる伝統芸能を何年もかけて磨き上げる、まさに修練の賜物です。中でも栄太朗は、日本で唯一の「女形(おんながた)」芸者。女性の装いで舞台に立つ男性芸者として、特別な存在です。彼は、明治時代に賑わった大森海岸駅近くにある置屋「まつ乃家」の二代目として、母の遺志を継ぎ活動しています。

栄太朗は置屋で育ち、小学生のころから芸事の修行を開始。若くして母を亡くした後、その伝統を守り続ける決意を固めました。日常生活では男性として暮らしていますが、舞台では「女形」として新たな視点から芸を披露しています。

Geisha in traditional attire with elaborate black hairstyle and white makeup, wearing a dark green kimono with cream obi, viewed from behind in a festive setting with red lanterns.
客と会話をする栄太朗 | Photo by Merci

この日、私たちは屋形船に乗って、東京のきらめく夜景とともに栄太朗やまつ乃家の芸者たちの芸を楽しみました。踊りや唄、伝統的な遊びを交えながら、芸者たちは観客と自然に交流し、質問に答えたり写真撮影にも快く応じてくれました。

Two geisha in traditional kimono and ornate hair accessories engage with a Western visitor in a colorful yukata during a cultural experience in a traditional Japanese tatami room.
お座敷遊びをする芸者衆と筆者 | Photo by Merci

「芸者(geisha)」とは「芸の人」という意味。唄、舞踊、茶道、三味線など多岐にわたる芸を極め、美しい着物で客人をもてなします。かつては富裕層向けの閉ざされた世界でしたが、最近では栄太朗のように、広く文化を伝えようとする芸者も現れています。

Geisha in traditional dark green kimono and white makeup holding a decorative paper umbrella with red and white pattern, wearing an ornate golden obi in Ota, Japan.
Dodo染された扇子で舞う栄太朗| Photo by Merci

創造性が花開くまち、大田区

大田区には、アジア最大級の花と野菜の市場「大田市場」があり、フローラルアーティスト集団「Dodotokyo」も拠点を構えています。栄太朗は、地域文化の魅力を伝える活動の一環として、Dodotokyoが手がけた「ドド染め」の扇や提灯を使って舞台に立っています。私たちもDodotokyoのスタジオを訪れ、ドド染め体験を通してその物語を知ることができました。

Dodotokyoのアトリエは、羽田空港と大田市場の間に位置する人工島・京浜島にあります。かつては多くの工場があり、産業発展の一翼を担った場所ですが、近年は廃棄物処理業者が増え、「ゴミの島」とも呼ばれるようになっています。

Woman in black winter outfit and knit hat admiring a colorful gallery wall featuring vibrant orange and pink frames with displayed flowers against a dark background in Ota, Tokyo.
Dodo Tokyoフラワーアーティスト集団によるアート作品 | Photo by Dodotokyo

この状況に対し、Dodotokyoは「花とアートの島」へと再生させるべく、アトリエで大田市場の花を使った作品を制作。廃材のアップサイクルを取り入れたサステナブルな作品は、結婚式や企業イベントでも好評を博しています。

伝統と革新の融合を掲げるDodotokyoでは、100%国産藁で作られた縁起物「しめ縄宝船」に花や装飾をあしらうワークショップも実施。人生の節目を祝う贈り物として人気だそうです。また、私たちも扇に絵を描くドド染め体験に挑戦。筆や割り箸を使い、自分だけの模様を描きました。栄太朗の舞で使われている扇子と同じ手法で、特別な体験となりました。

Handcrafted New Year decoration made from twisted straw rope adorned with dried flowers, orange slices, red tassels, and colorful pom-poms with a paper label reading "dodo" at its center.
ワークショップで作られたしめ縄宝船 | Photo by Dodotokyo

旅立ちの前に祈りを込めて

大田区といえば、やはり羽田空港。しかし、空港近くには、旅の安全を祈願できる美しい神社があることをご存知ですか?「穴守稲荷神社」は、赤い鳥居が連なるフォトジェニックな場所で、稲荷の狐神を祀っています。境内のあちこちにキツネのモチーフが見られるのも特徴です。

Vibrant vermillion torii gates form a tunnel pathway at Anamori Inari Shrine in Ota, with Japanese calligraphy signage overhead and dramatic light casting striped shadows along the walkway.
穴守稲荷神社 | Photo by Merci

この日は、神職の方の案内で参拝。通常では気づかないような隠れた見どころや、神社の由来について丁寧に教えていただきました。

大田区探訪の締めくくりは、羽田空港の舞台裏を覗ける「JAL SKY MUSEUM」へ。2013年にリニューアルオープンしたこの施設では、日本航空の歴史資料やインタラクティブな展示があり、パイロットや客室乗務員の制服を着て記念撮影も楽しめます。

Mannequins displaying vintage airline uniforms in bright orange, yellow, and blue colors arranged in rows along a modern museum corridor with recessed lighting.
JAL SKY MUSEUMに展示されている歴代ユニフォーム | Photo by Merci

その後、特別に手配された格納庫ツアーへ。JALのスタッフがガイドとして案内してくれました。飛行機に間近で接するこの体験は、飛行機ファンだけでなく誰にとってもわくわくするひとときです。日頃見られない航空業界の裏側に触れ、大田区での一日はさらに思い出深いものとなりました。

Tourists in bright orange hard hats observe Haneda Airport runway at dusk from an observation deck, with dramatic blue and orange twilight sky overhead.
格納庫から見る普段見られない羽田空港 | Photo by Merci

ツアーに参加する

この特別なツアーのご予約は、予約ページにアクセスし、専用フォームより希望日など必要事項を入力してください。オーダーメイド型ツアーのため、複数の日程候補をお知らせいただく形になります。ご希望に応じて、空き状況を確認後、詳細をご案内いたします。

Woman wearing an orange hard hat standing in front of a Japan Airlines Boeing 777 aircraft inside a maintenance hangar with exposed steel framework ceiling.
格納庫にて飛行機と写る筆者 | Photo by Merci

* 必ずしも格納庫に飛行機が駐機しているとは限りません。

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ローカル線の車窓から石川の里海を眺める https://tricolage.com/ja/magazine/view-of-ishikawas-satoumi-from-a-local-train-window/ Tue, 15 Aug 2023 12:02:29 +0000 https://tricolage.com/magazine/view-of-ishikawas-satoumi-from-a-local-train-window/ 風光明媚なローカル線に乗り、石川の里海の美しい海岸線の風景を眺める

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「こんな素晴らしい場所、人に出会えて本当に良い旅だった!」

お客様にそう思っていただけることは、私たちにとってとても嬉しいことです。

同時に、地元の方々から「是非また来てください!今度はもっとゆっくりしていってね」と言っていただけると、今度はもっと長い時間をゆったりと過ごせる旅をお客様にお届けしたいという気持ちになります。

Three people sitting on the engawa porch of a traditional Japanese house with shoji screens, beside a large tree in a lush garden.
地元ガイドに話を聞くベンジャミンと吉田

観光地巡りも良いですが、それだけではない、人やディープな場所との出会いを得られる旅をデザインしお客様にお届けするーそのために、私たちはできる限り地域へ足を運び、地元の方々とお会いしてお話を聞いたり、自ら体験をしたりしています。

今回は、北陸地方の石川県に行ってきました。素晴らしいこの地域の様子や思ったことなどシェアします。

地方によって表情の異なる石川県

北陸に位置する石川県は、金沢市を中心とした南北に長い地域です。金沢市には兼六園や金沢城、ひがし茶屋街など、加賀百万石の城下町としてその歴史を感じられる街並みが残り、観光客に人気の街として知られています。南には日本三名山がある白山地方、北には風光明媚な里海風景や漆器で有名な輪島などが位置する能登地方があります。同じ県の中でも地方によって地形や文化の特徴が大きく異なり、とても珍しい地域と言えるでしょう。

Close-up of a traditional Japanese samurai helmet and armor display featuring a black iron helmet with distinctive crescent-shaped ornament and face mask, with blue and gold-toned chest armor visible below.
武家屋敷跡野村家の当主が合戦で着用していたと伝えられる甲冑

日本海に長く面する石川県は、もちろん海の幸も絶品。お寿司や海鮮丼、それに珍しい魚料理など、地産の食も大きな魅力の一つです。

里山・里海の「生活文化」 ー 能登地方

能登地方は県木のアテ(能登ヒバ)の森が眼下に広がり、飛行機から見下ろす風景は圧巻。今回の視察はここ能登地方から始まります。

Terraced rice paddies cascading down a coastal hillside in Ishikawa's Satoumi region, with turquoise ocean waters and a winding coastal road visible from a train window perspective.
白米千枚田

空港で能登DMCの小山さんとガイドの平田さんにお会いし、まずは伝統的な茅葺の屋根が特徴の「茅葺庵」へ。ここでは地域全体がひとつのホテルとなり、能登の暮らしをまるごと堪能できる場所「里山ホテル」を運営しています。

Three people conversing in a traditional Japanese interior with warm paper lanterns, exposed wooden beams, a vintage wall clock, and shoji screen doors illuminated by natural light.
能登の魅力を語る里山ホテル代表の山本さん

代表の山本さんは東京からのIターン組。能登の農村風景や暮らしや人に惚れ込み移住。ここでの伝統的な暮らしを旅行客に体験してもらうため、農業体験や茅葺庵でのお食事、時には茅を葺く体験まで提供しているそうです。地元のじぃじとばぁばも一緒にこの茅葺庵で旅行客をウェルカムし、想いいっぱいに能登の魅力を伝えていただきました。空港から程近いこの場所で、早速人の温かみを感じました。

Three people standing in front of a traditional Japanese thatched-roof house with weathered wooden facade, with the center person holding a red banner with Japanese calligraphy and a pink tote bag.
山本さんとベンジャミン、吉田 里山ホテルの前にて

有名な輪島の朝市を抜け、今度は輪島塗の沈金職人前古さんのお宅へ。

沈金とは、漆器の表面に沈金ノミで絵柄を彫り込み、溝となった部分に漆を接着材として塗り重ね、金箔や金銀粉を埋めて模様を描き出す技法です。昔ながらの伝統的な道具と技法で文様を描くことで、立体的で緻密な美しい仕上がりに。模様のデザインから道具のメンテナンスまで一人でこなす前古さんは、長年その分厚い手で、美しい絵柄を輪島塗の上に次々と表現し続けています。

Artisan's hands carefully painting delicate gold floral motifs onto a black lacquerware tray, with a pink decorative fabric visible underneath.
美しい絵柄が輪島塗の上に次々と浮かび上がる

「本物の道具を使って沈金を体験してもらっている。難しいけど、そうすることで輪島の沈金の本当の魅力を伝えたいー」

あえて観光客向けではない本物の体験をしてもらいたいと考える前古さんとの出会いは、地域が伝えたい地元の文化をお客様にお届けしたいと考える私たちにとって、とても貴重なものとなりました。

Japanese artisan wearing glasses working at a wooden desk in a traditional craft workshop surrounded by tools and materials
自宅の工房でお話をする沈金職人の前古さん

城下町の「武家文化」 ー 金沢地方

和倉温泉からローカル線の車窓から田園風景を眺めて揺られること1時間、金沢駅に到着しました。

Brightly decorated Japanese sightseeing train with red exterior and gold floral patterns stationed at a platform in Ishikawa, featuring traditional chrysanthemum and maple leaf designs.
和倉温泉と金沢を結ぶローカル鉄道

金沢市観光政策課の皆さんにお迎えいただき、金沢で紹介したい人、場所をいくつかご案内いただきました。

そのうちの一つが、加賀友禅の毎田染画工芸さん。

500年もの歴史がある加賀友禅は、草花をモチーフにした絵画調の模様が特徴で、その緻密な染技法には目を奪われます。

Traditional Japanese art depicting pine trees with colorful seasonal flowers including pink cherry blossoms, orange maple leaves, and purple blooms, painted in a delicate pointillist style on what appears to be decorative paper or screen.
アクリル板に見事に表現された加賀友禅

加賀友禅を仕上げるには約15工程がありますが、ここ毎田染画工芸ではその全てを一貫制作で行い、作家のデザインを最大限に引き出しています。

「古い伝統を守りつつ、今の時代やニーズに合わせてイノベーティブに創作している」と語るのは3代目の毎田仁嗣さん。着物の市場が縮小していく中、いかにして加賀友禅を次の時代へ繋いでいくか、さまざまな挑戦をされています。

Artist in workshop painting turquoise panels with delicate white and blue floral patterns, traditional Japanese craftsmanship in progress.
加賀友禅のさまざまな工程を案内する毎田さん

武家文化といえば、侍や刀を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。

ですが、古くから伝わる本物の日本刀を目にし触れたことのある人は、多くはないはず。

今回私たちは、先祖が武士で、侍文化を今に伝える四十万谷(しじまや)正久さんにお会いしました。普段はなかなか触れることのできない日本刀を実際に持たせていただき、間近で見るその美しさに感動しました。

Elderly Japanese craftsman in traditional dark kimono speaking to visitors across a table displaying decorative swords and traditional metalwork in a bright, traditional Japanese room with shoji screens and garden views.
古くから伝わる本物の刀を前に侍文化について語る四十万谷さん

四十万谷さんは、日本刀や侍の文化がいかに現代に生きているか、教えてくれました。

「鎬(しのぎ)を削る」

「切羽詰まる」

いずれも刀が由来となって作られた表現です。今でも普通に使う言葉がこういうところから来ているのは、面白いです。

Two practitioners in traditional Japanese clothing demonstrate samurai sword techniques in a traditional tatami room with shoji screens.
本物の刀の使い方を学ぶベンジャミン

最後は真剣を使っての抜刀体験。本物の刀の重みに手を振るわせながら、侍のように精神統一させて武家文化を味わいました。

山岳信仰の「仏教文化」 ー 白山地方

白山は、富士山、立山と並ぶ日本三名山の一つ。信仰の山として知られ、霊山から見下ろす雲海はなんとも神秘的な景色です。

Misty mountain landscape viewed from a train window in Ishikawa, with layered mountain ridges fading into the blue-gray distance, a traditional Japanese farmhouse roof in the foreground, and lush green vegetation.
生雲から見下ろした白山の山々

加賀温泉駅から山をドライブすること小1時間、山の頂上で私たちは忘れることのできない宿泊を体験することになります。

ここ白山生雲は、心を癒す山頂の宿。修験者たちが修業していたお堂がかつてここにあり、それが「生雲」の始まりとされています。

Traditional Japanese interior with exposed dark wooden beams, latticed shoji screens, warm ambient lighting, and polished wooden floors creating a serene atmospheric space.
白山生雲

風の音以外何も聞こえない、近くに光もない、刻々と変化する雲、夜に見えるのは遠くに臨む街の光のみ。その宿で、多くの修験者たちが過ごしてきたように静かに心を鎮め、今に続く古来の信仰の形を感じました。


決して煌びやかな宿ではありませんが、一棟貸切で、この山を貸し切ったかのような気分を味わい、日常を完全に忘れる感覚はなんとも贅沢な体験と言えます。

他では感じたことのないような心の平安を得ることができる貴重な宿泊体験を得ることができました。

翌日には那谷寺でご祈祷を受け、住職さんとお話をさせていただきました。忘れることのできない3日間の旅の締めくくりとなりました。

Golden multi-armed Buddhist deity statue in meditation pose with ornate decorations and symbolic objects, displayed against an intricate dark patterned backdrop with suspended ornamental disc above.
那谷寺

一つ一つの出会いが、心に深く残る旅を

石川県は旅行客にとって近年ますます人気の高くなっている地域です。今回の視察でも、特に金沢市の一部の観光地では、人とすれ違うのがやっと、というくらいの人混みでした。コロナ禍からの観光の復活は、人気の観光地ではオーバーツーリズムの問題も同時にぶり返す結果となっています。

一方で、今回訪れた場所はほとんどが静かでゆっくり過ごせ、その地域地域で出会う人とゆっくり時間を過ごしながら、噛み締めるように旅を楽しむことができました。

Smiling woman in yellow sweater kneeling on tatami floor while holding a shamisen, a traditional Japanese three-stringed instrument, in a room with orange walls and translucent shoji screens.
最後に寄った福井の三国で出会った、伝統芸能を継承する芸歴60年の三味線奏者芳村さん

あの場所であの人が言っていたこの言葉ー

あの人のレンズで見るあの場所の風景ー

一つ一つの出会いが、私たちの心に深く残った旅となりました。

これこそが、旅の意義、ではないでしょうか?日本には、素晴らしい地域がたくさんあります。私たちはこの地域を一つ一つ周り、心に深く残る意義深い旅を作ります。

日本で心に残る旅を体験したい人は、是非こちらからお問い合わせください。

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