top of page
Fumiko Yoshida

ローカル線の車窓から石川の里海を眺める

「こんな素晴らしい場所、人に出会えて本当に良い旅だった!」

お客様にそう思っていただけることは、私たちにとってとても嬉しいことです。


同時に、地元の方々から「是非また来てください!今度はもっとゆっくりしていってね」と言っていただけると、今度はもっと長い時間をゆったりと過ごせる旅をお客様にお届けしたいという気持ちになります。


地元ガイドに話を聞くベンジャミンと吉田

観光地巡りも良いですが、それだけではない、人やディープな場所との出会いを得られる旅をデザインしお客様にお届けするーそのために、私たちはできる限り地域へ足を運び、地元の方々とお会いしてお話を聞いたり、自ら体験をしたりしています。


今回は、北陸地方の石川県に行ってきました。素晴らしいこの地域の様子や思ったことなどシェアします。




地方によって表情の異なる石川県


北陸に位置する石川県は、金沢市を中心とした南北に長い地域です。金沢市には兼六園や金沢城、ひがし茶屋街など、加賀百万石の城下町としてその歴史を感じられる街並みが残り、観光客に人気の街として知られています。南には日本三名山がある白山地方、北には風光明媚な里海風景や漆器で有名な輪島などが位置する能登地方があります。同じ県の中でも地方によって地形や文化の特徴が大きく異なり、とても珍しい地域と言えるでしょう。


武家屋敷跡野村家の当主が合戦で着用していたと伝えられる甲冑

日本海に長く面する石川県は、もちろん海の幸も絶品。お寿司や海鮮丼、それに珍しい魚料理など、地産の食も大きな魅力の一つです。




里山・里海の「生活文化」 ー 能登地方


能登地方は県木のアテ(能登ヒバ)の森が眼下に広がり、飛行機から見下ろす風景は圧巻。今回の視察はここ能登地方から始まります。

白米千枚田

空港で能登DMCの小山さんとガイドの平田さんにお会いし、まずは伝統的な茅葺の屋根が特徴の「茅葺庵」へ。ここでは地域全体がひとつのホテルとなり、能登の暮らしをまるごと堪能できる場所「里山ホテル」を運営しています。


能登の魅力を語る里山ホテル代表の山本さん

代表の山本さんは東京からのIターン組。能登の農村風景や暮らしや人に惚れ込み移住。ここでの伝統的な暮らしを旅行客に体験してもらうため、農業体験や茅葺庵でのお食事、時には茅を葺く体験まで提供しているそうです。地元のじぃじとばぁばも一緒にこの茅葺庵で旅行客をウェルカムし、想いいっぱいに能登の魅力を伝えていただきました。空港から程近いこの場所で、早速人の温かみを感じました。


山本さんとベンジャミン、吉田 里山ホテルの前にて



有名な輪島の朝市を抜け、今度は輪島塗の沈金職人前古さんのお宅へ。



沈金とは、漆器の表面に沈金ノミで絵柄を彫り込み、溝となった部分に漆を接着材として塗り重ね、金箔や金銀粉を埋めて模様を描き出す技法です。昔ながらの伝統的な道具と技法で文様を描くことで、立体的で緻密な美しい仕上がりに。模様のデザインから道具のメンテナンスまで一人でこなす前古さんは、長年その分厚い手で、美しい絵柄を輪島塗の上に次々と表現し続けています。


美しい絵柄が輪島塗の上に次々と浮かび上がる

「本物の道具を使って沈金を体験してもらっている。難しいけど、そうすることで輪島の沈金の本当の魅力を伝えたいー」



あえて観光客向けではない本物の体験をしてもらいたいと考える前古さんとの出会いは、地域が伝えたい地元の文化をお客様にお届けしたいと考える私たちにとって、とても貴重なものとなりました。


自宅の工房でお話をする沈金職人の前古さん


城下町の「武家文化」 ー 金沢地方


和倉温泉からローカル線の車窓から田園風景を眺めて揺られること1時間、金沢駅に到着しました。


和倉温泉と金沢を結ぶローカル鉄道

金沢市観光政策課の皆さんにお迎えいただき、金沢で紹介したい人、場所をいくつかご案内いただきました。



そのうちの一つが、加賀友禅の毎田染画工芸さん。

500年もの歴史がある加賀友禅は、草花をモチーフにした絵画調の模様が特徴で、その緻密な染技法には目を奪われます。


アクリル板に見事に表現された加賀友禅

加賀友禅を仕上げるには約15工程がありますが、ここ毎田染画工芸ではその全てを一貫制作で行い、作家のデザインを最大限に引き出しています。


「古い伝統を守りつつ、今の時代やニーズに合わせてイノベーティブに創作している」と語るのは3代目の毎田仁嗣さん。着物の市場が縮小していく中、いかにして加賀友禅を次の時代へ繋いでいくか、さまざまな挑戦をされています。


加賀友禅のさまざまな工程を案内する毎田さん


武家文化といえば、侍や刀を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。


ですが、古くから伝わる本物の日本刀を目にし触れたことのある人は、多くはないはず。


今回私たちは、先祖が武士で、侍文化を今に伝える四十万谷(しじまや)正久さんにお会いしました。普段はなかなか触れることのできない日本刀を実際に持たせていただき、間近で見るその美しさに感動しました。


古くから伝わる本物の刀を前に侍文化について語る四十万谷さん

四十万谷さんは、日本刀や侍の文化がいかに現代に生きているか、教えてくれました。



「鎬(しのぎ)を削る」


「切羽詰まる」



いずれも刀が由来となって作られた表現です。今でも普通に使う言葉がこういうところから来ているのは、面白いです。



本物の刀の使い方を学ぶベンジャミン

最後は真剣を使っての抜刀体験。

本物の刀の重みに手を振るわせながら、侍のように精神統一させて武家文化を味わいました。



山岳信仰の「仏教文化」 ー 白山地方


白山は、富士山、立山と並ぶ日本三名山の一つ。

信仰の山として知られ、霊山から見下ろす雲海はなんとも神秘的な景色です。


生雲から見下ろした白山の山々

加賀温泉駅から山をドライブすること小1時間、山の頂上で私たちは忘れることのできない宿泊を体験することになります。


ここ白山生雲は、心を癒す山頂の宿。修験者たちが修業していたお堂がかつてここにあり、それが「生雲」の始まりとされています。


白山生雲

風の音以外何も聞こえない、近くに光もない、刻々と変化する雲、夜に見えるのは遠くに臨む街の光のみ。その宿で、多くの修験者たちが過ごしてきたように静かに心を鎮め、今に続く古来の信仰の形を感じました。


決して煌びやかな宿ではありませんが、一棟貸切で、この山を貸し切ったかのような気分を味わい、日常を完全に忘れる感覚はなんとも贅沢な体験と言えます。

他では感じたことのないような心の平安を得ることができる貴重な宿泊体験を得ることができました。



翌日には那谷寺でご祈祷を受け、住職さんとお話をさせていただきました。忘れることのできない3日間の旅の締めくくりとなりました。


那谷寺


一つ一つの出会いが、心に深く残る旅を


石川県は旅行客にとって近年ますます人気の高くなっている地域です。今回の視察でも、特に金沢市の一部の観光地では、人とすれ違うのがやっと、というくらいの人混みでした。コロナ禍からの観光の復活は、人気の観光地ではオーバーツーリズムの問題も同時にぶり返す結果となっています。


一方で、今回訪れた場所はほとんどが静かでゆっくり過ごせ、その地域地域で出会う人とゆっくり時間を過ごしながら、噛み締めるように旅を楽しむことができました。


最後に寄った福井の三国で出会った、伝統芸能を継承する芸歴60年の三味線奏者芳村さん

あの場所であの人が言っていたこの言葉ー


あの人のレンズで見るあの場所の風景ー



一つ一つの出会いが、私たちの心に深く残った旅となりました。


これこそが、旅の意義、ではないでしょうか?



日本には、素晴らしい地域がたくさんあります。

私たちはこの地域を一つ一つ周り、心に深く残る意義深い旅を作ります。



日本で心に残る旅を体験したい人は、是非こちらからお問い合わせください。

Linkedinではさまざまな情報を発信していますので、ぜひフォローをお願いします。





Comments


bottom of page